片づける方法として、帰宅したときなどに、とりあえず置く場所とか、ちょいっと置ける、物の逃げ道のような一時避難場所をつくっている方も多いことでしょう。
これは正しく、理にかなった片付け法です。
注意しなければいけないのは、これは、片づけの上級者の方にはおすすめする方法であるということです。
ご高齢のある程度、年を重ねた方、健康に不安がある方、若くても片づけに苦手意識のある方には、あまり向いているとは言えません。
なぜでしょうか。
理由は簡単。
散らかっているお宅は、全部が「とりあえず」「ちょい置き」したものばかリで、あふれかえっているからです。
家具のすき間、床など、とにかく空いたスペースは、ちょいっと置くスペースにどんどんと化していきます。
たいてい、ダイニングテーブルだったり、キッチンのカウンターテーブルだったりします。
そして、お部屋の持ち主にとってはすべて「とりあえずちょいっと置くスペース」となり、捨てることを先のばしにした、取っておきたい物ばかりです。
やがて第一次仮置き場が物でうまっていると、第二次の仮置き場として、床置きに・・など、すき間をどんどんうめつくしていきます。
物は人の住む場所を侵食していくのです。
そうなってしまうと、いざやる気になって片づけようとしても、物の仕分けをするのにやたら時間がかかってしまいます。
そうこうしているうちに、転んでけがをしたり、病気になったり……。
忙しくてプチゴミ屋敷化への道を進んでしまうのです。
判断を先送りしても、物が増えることがあっても、物が減ることは、ぜったいにあり得ないのです。
では、どうしたらいいのでしょうか。
とくにご高齢の方には、お出かけから帰ってきて、一番に物をぽんと置く場所をチェックして、そこを家の中の活動スペースとしてとらえます。
外出からかえってきてほっとしたい気持ちもわかります。
こう毎日暑くて、体力もない時は、誰だって面倒になります。
片づけが得意な若いひとだって、きっと仕事が忙しかったら、まずほっとしたいことでしょう。
元気な時は、帰宅してすぐにカバンの中身を空けたり、買い物袋をカラにしてから着席するのが理想ですが、こちらは生身の人間。いつもいつも元気とは限りません。
たとえば、帰宅して、持ち歩くよく使う物を置く場所があることでしょう。
たとえばダイニングテーブルなどに、つい置いてしまうとします。
それなら、よく使うものは、ダイニングテーブルの近くにしまい場所を設定します。
そして、ダイニングテーブルの上を日ごろから何もない状態にしておき、寝る前に設定した、あるべき場所に戻してから寝るというクセをつけておくといいでしょう。
体力がなければそのままとなるので、体力が戻った時に、ダイニングテーブルを初期化するように、近くの場所(もちろんダイニングテーブルも含みます)を片づけていけばいいのです。
そのほうが、気が楽です。
案外、いつも使う重要な物ばかりかもしれませんし、直近に使ったものなので、判断にもそう迷いはでないでしょう。
いきなり自分よりも、ハードルの高い片づけ方をしないほうがいいのです。
とりあえず、ポンと置く場所はつくらないのがポイントです。そこからどんどん崩れていきます。
一度考えてみませんか。
片付きますように(渡部亜矢)。
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