片づかない話 第6話 振り回されるはなし

片づけができるようになってよかったことは何か?

 

というのは、巷でもうあふれかえっていますね。

 

二重買いが減ったとか、余計な物を買わなくてすんだとか、好きな物を選べるようになったとか、家族の会話が増えたとか、いろいろあります。

彼氏ができたとか、片づいて気持ちよくなったとか、新しい仕事がきたとか、嘘みたいですが、よくある話なのです。
世の中でいろいろいわれていることですし、私もこのブログにたくさん書いてきました。

でも、案外、知られていないことがあります。

 

それは、ノイズが気にならなくなることです。
ノイズとは、文字通り雑音です。

自分の価値観がまっすぐになってくるという、イメージでしょうか。

 

到達点に最短で、進めるというということです。

ある方は、収納のたくさんある家に住んでいる、お金持ちのママ友がうらやましくてしかたがなかったそうです。

 

とても意地悪い気持ちを持っていたそうです。
ところが、だんだん片づけていくうちに、そういう気持ちがすっと消えていったそうです。

 

さらに、お姑さんから、自分の趣味とは合わないハンカチをもらっても、気持ちだけもらえるようになったそうです。
片づける前は、お姑さんの価値観がまったく理解できず、なんでこんな物を!と思っていたそうです。

 

ところが、片づけとは自分自身の価値観をみつめる作業だと気づき、自分の好みがだんだんわかってくるのと比例して、他人との違いが理解できるようになったら、

 

「この人は実は、自分と同じように片づけができず、価値観がわからず、物を人にあげていたのだ」

 

とわかり、お姑さんとの関係がらくになったそうです。

 

また、片づけることで、他人との違いがわかってくると、嫉妬やうらみのような気持ちも消え、いい意味で、「あ、この人は、こういう価値観なんだ」「広い家に住んでいるんだ」と、素直に認めることができるようになってくることもあるでしょう。
自分の価値観を認めたり、わかってくることで、他人の価値観を一歩上から見ることができるのだと思います。

 

上から目線と俯瞰して全体をみることは全然違うのですが、上から目線の人は、自分とは異質な意見を、すべて上から目線で言われれているように感じてしまうのです。

そして、自分の価値観で物をみているので、言っているご自分が上から目線になっている可能性がたかいのです。

そうすると、これもほかの人からすると、ノイズになるわけです。

ノイズを言っている方が残念な状況なのだとこちら側はわかってきます。

そして、その方が、本当の意味での上から目線の人であるとわかってくるのです。

こうなってくると、逆に嫉妬めいたことをいわれても、自分の価値観と違っているのですから、いい意味でスルーすることができ、毎日の生活がとても楽になってきます。

 

また、いつも「こうしたほうがいい」という助言をする友人がいて、いつも違和感があったというお客様がいらっしゃいました。

このお客様は、ご自分の本心との違いに気が付かれたようです。

そのご友人のことばが、「こうしたほうがいい」という助言よりも、他人をコントロールしようとしていた言葉やノイズが含まれていたので、変だと感じたとのことでした。

助言とは、曇りがあってはならないのです。

 

また、最近の事例でいえば、イチロー選手が、小さいころ「プロ野球選手なんてなれっこない」「アメリカなんて行ったって・・」などという言葉に耳を傾けなかったのが、同じようなノイズなのです。

 

イチローさんは、ノイズに負けず、努力をし続けて、偉業を達成した方なのです。

 

今は不寛容社会という言葉があり、異質なものは排除されやすい時代です。

そうはいっても、こういう時代だからこそ、「こうしたい」という希望を持っている人の力が、安心して出せるような雰囲気は、あったほうがいいと思います。

(当協会は、そうした「こうしたい」「こうなりたい」という希望を、安心して言える場づくりもめざしています)

 

やりたいことをするために、今を整理するのが、片づけなのです。

 

そして、実家の片づけは、親への寛容と、世の中のノイズから遮断して家族の価値観で判断しなければいけないところが難しいのです。

 

片づけをしていくと、だんだん余計なノイズが気にならなくなるので、奥が深いともいえます。
意外な副産物とも言えるし、実は、それがメインであり、片づけの醍醐味なのです。

 

そうはいっても、ノイズだらけの世の中だし、いらないけれど安くて魅力的な物があふれていて、周りはおしゃれて素敵な人ばかり。

あせるのが人というものなのでしょう。

 

一緒に片づけて、ノイズに振り回されずことなく、うまくノイズを聞き分けられるようになるといいですね。(渡部亜矢)