片づけスタート実践ガイド
「片づけの一歩を踏み出そう」
片づけの「プレ終活」の始め時チェック
あなたにあてはまるものが2-3個あれば、体力、気力が変化しているサイン。
すぐに片づけを始めてください。
このままご実家の片づけに突入すると、共倒れになるかもしれません。
もし親御さんとコミュニケーションがとれるようでしたら、声かけをして、一緒に片づけを始めるのがベターです。
☑薬の量が増えた
☑健康食品を買うことが増えた
☑脱ぎっぱなし、やりっぱなしが増えた
☑戸棚や引き出しの前にモノを置きがち
☑以前より掃除をする回数が減った
☑新聞や雑誌を読まなくなった
☑グチが増えた
☑買い物から帰ったらレジ袋をそのまま床置き
☑衣替えが面倒で服を買い足しがち
「住宅リテラシー」診断チェックで、どのレベルにいるかも、確認してみてください。
「今」と「これから」をよりよくするために
片づけは、自分自身と家族の「今」と「これから」をつくる重要な一歩となります。
多くの人が自宅や実家の片づけを後回しにしていますが、それが原因で、何十年後には老老介護の前の老老片づけに悩み、家の処分、相続問題など、さまざまな問題に直面することが考えられます。
その行き着く先が空き家問題となり、社会の問題になります。
決して個人の問題ではないのです。
これらの問題を未然に防ぐためにも、片づけは非常に重要な行動となります。
片づけは、単なる家事ではないのです。
「今」と「これから」をよりよくする、幸せになるためのスキルのようなことです。
片づけは、ワクワクする未来への第一歩です。
次世代へのマナー
親世代は、自分が亡くなったあとは子どもが家も介護も家庭でみてくると、当たり前のように思っている人が多いかもしれません。
しかし少子高齢化が進んだ今は、そのようなことはありえないと考えたほうがいいでしょう。
中年世代が自分のものを予め片づけを行うことは、次世代へのマナーともいえるのです。
清潔で整理された家は、自分自身の心の安らぎだけでなく、周囲の環境にも良い影響を与えます。
将来、片づけが滞ったことによる空き家を減らすことにつながり、社会的な費用を減らすことにもなります。
何よりも、家の中でモノにつまずいて転倒するなどの事故も減り、家の売却や相続もスムーズに進みます。
片づけ問題は個人の問題ではなく、社会の問題でもあるのです。
親子は他人であるが他人ではない現実
中年世代にとって、70代を過ぎた親との関係では、大人同士の他人の関係となります。
子と親は異なる時代背景を持ち、それぞれの価値観や人生を持っています。
しかし、日本ではまだ家族制度が重んじられ、親の世話を子が多くを負うと考える人もいます。介護保険などの社会的な支援は完全ではありませんが、家族だけに依存することは避けたいところです。付き合わなくてよい知り合いや友人と違い、家族とは簡単に離れられない関係であるという特徴があります。
現在の親世代と子世代は、生活や価値観の違いが大きく、特に中年の私たちは自分たちの生活を維持するのに精一杯です。兄弟姉妹が少ないため、実家の片づけなどの負担も大きくなっています。丸抱えすると、子の人生は行き詰まってしまいます。
そこで、特に30代から50代の方々は、親の老後の準備について考えることが大切です。急な片づけや介護が必要になった時、大変な労力と費用がかかることもあります。
もし親が「終活」を始めていない場合は、中年の子どもたちがその方法を示すことが有効です。
また、エンディングノートを書く前の「プレ終活」として、片づけや身の回りの整理を始めることも一つの手です。これにより、重要な品物を整理し、将来への準備を進めることができます。
親の老後の問題に巻き込まれないためにも、早めの片付けと整理が重要です。親の介護や空き家の問題は、将来自分たちにも影響を与えるため、早めの対策が必要です。
身内と思わず、仕事のように現状を俯瞰して取組む視点も、時には必要です。
親子で片づけた場合は、たとえ喧嘩をしたとしても、モノは捨ててなくなったとしても、片づけたという「思い出」に変わっていきます。あの時片づけて、笑って喧嘩しておけばよかったと後悔しなくてすむ人も多くいらっしゃいます。
まずはスタートすることをおすすめいたします。
実家の「終活格差」
現代の日本では、終活を行う家庭と行わない家庭との間に「実家の格差」が生まれています。終活や相続対策を行うことで、子どもたちへの負担を軽減させることが可能です。片付けは単にモノを減らすだけでなく、家族を守るための重要な行動です。
共倒れにならないように、まずは自分の身の周りから片づけていきましょう。
実践編
モノを「捨てる」のではなく、「整理」する
不要なモノと必要なモノを見極めることで、生活空間をより快適にし、物との健全な関係を築くことができます。特に30~50代の方々は、過去に培った物への愛着と、将来に必要な物とのバランスを見つけることが重要です。
いる・いらないに、3秒迷ったら、それはたいして重要なモノではありません。ほんとうに必要なものは、一瞬でいると思うはずです。
少しでも迷ったら、一時保管にして、ダンボールやゴミ袋に入れて、使っていない部屋や押し入れに移動させましょう。半年ぐらい忘れたらそれは本当にいらないもの。そのまま処分できます。
片づけはするだけで社会貢献になると理解する
片づけは個人的な行動ですが、それが社会全体に良い影響を与えることもあります。
普段からのゴミ分別や清掃は、環境保護に寄与し、リサイクル品を生み出します。地域コミュニティの美化にもつながります。
また、不用品をリサイクルショップやチャリティに寄付することで、社会貢献にも繋がります。
アンチエイジングになる片づけプロセス
片付けは、物理的な活動だけでなく、頭を使う思考のプロセスも含みます。
片づけを通じて、自分の好きなものや大切なものを見つけ出し、ライフプランの見直しにもつながります。これは、中年以降の人々にとって、健康維持にも役立つ活動です。
基準とするべきは「清潔」「楽」「好き」
片付けでは、「清潔感」「楽しさ」「好き」という3つの基準を重視することが大切です。清潔感ある空間は、ストレスを軽減し、心地よい生活を支えます。
また、自分が楽しいと感じるもの、好きなものに囲まれることで、生活に満足感をもたらします。
どうせやらならなければいけないことは、好きになるのが一番の片づく近道です。
掃除もしやすく、身だしなみも整い、好感度も上がります。
思い出モノは後回しに
片付けを始める際には、感情的な執着が少ない物から手をつけることが効果的です。思い出深い品々は、片付けの最後に取り組むことで、決断がしやすくなります。
使うモノは「両手の法則」で
日常的に使う物は、手の届く範囲に保つことで、生活をより快適にします。
すぐに手に届くことで、日々のストレスを軽減できます。
見た目重視よりも、「手にとりやすさ」「しまいやすさ」を重視して。
蓋のある箱にはいった小物、クローゼットのドアや引き出しをいちいちあけなければ出てこない服は、使わなければ一時保管状態。なかったことになります。
使うモノは徹底的に使って活かし、大切に使いましょう。
管理できるモノの量をイメージする
自分で管理できるモノは、たいてい、「両手の法則」で手が届く範囲、しかも目に見える範囲です。よ
日常使いのお気に入りのモノ、大切なモノは、今すぐでなくても、最終的な総量を、だいたいワンルーム(6畳ひとま)ぐらいまで少なくすることをイメージしていくといいでしょう。
床をすっきりさせる
片づけ=捨てる、というふうには考えない方がいいでしょう。
最初は床のものを 目に付き明日場所に移動させるだけでも良しとしましょう。
目に見えなくなると早くスッキリ感を味わって片付けた効果を味わって、片付けを楽しいことと、肯定的に感じることができるようになります。
前向きになれば片付けがだんだんと好きになってきます 片付けは自分の一部であり、セルフケアと考えて取り組んでいくといいでしょう。
床置きをなくすことで 高齢になってからの転倒を減らすこともできます 一石二鳥以上の効果があります。
業者の利用を検討する
離れて住む中年の子は、体力的にも、時間的にも経済的にも余裕がありません。片付けを家族でなんとかできるというのは、すでに幻想になりつつあります。力仕事や大型のごみなど、他人の手を借りる方法も検討しましょう。
引っ越しサービスも以前は家族で行っていましたが、この半世紀で当たり前になりました。介護が保険として社会化されて約20年、次は片づけサービスがメジャーになるでしょう。
片づけサービスは、たとえ有料であっても、体力的な負担が減ります。大切なモノの整理や親子で話し合う余裕が生まれます。
なかなか帰省できない人や、大物の家具がたくさんある場合に、上手に活用するとよいでしょう。
まずは、何をどのくらい処分したいのかを明確にし、使える制度がないか、最寄りの清掃局などに問い合わせてみましょう。
見積もりや依頼をする際には、「何を捨てたいのか」「誰がどのように使う部屋なのか」「予算の上限」などの希望を、はっきりと伝えるのがポイントです。
庭の整備やエアコンの清掃など、外注しても心理的な障壁の少ない物を頼んでみるのをいいでしょう。親世代は、他人が家に来るというだけで、他人に見えるところを片づけ始めることがあります。
参考:横須賀市のゴミ出し支援サービスなど、片づ業者に関する情報
https://jikka-katazuke.jp/akiya-yokosuka-mono/
迷った時は、気持ちから遠い「捨てやすいモノ」から
片づけを始める際の参考として、捨てやすいモノのリスの例です。
気持ちから遠いモノから始めると、スムーズです。
捨てやすいモノリスト
☑毛玉のついた服や、ボタンが取れたまま着ていない服
☑家族の人数以上ある古い布団や毛布、マットレス
☑飲み残しの薬
☑壊れた家電(扇風機、使っていないストーブ、ラジカセ ステレオスピーカーなど)
☑乗らない自転車
☑使っていないタイヤ 車用品
☑使っていないミシン、編機など
☑使っていないこたつ 昔の勉強机 座っていないソファーなど
☑2ヶ月以上の雑誌 前の雑誌 カタログなど
☑賞味期限の近い食べ物 古い缶詰
☑使い残しの化粧品、シャンプー、リンス 、石鹸類
☑リモートワークが増えて着なくなったオフィススーツ
☑コロナ以降着ていない服(2年以上着ていない服)
☑コロナ以降使っていない旅行用スーツケース、レジャー用品
☑よそいきで履いていないパンプス、靴 など
重要品片づけステップ
重要品は、年齢に関係なく整理しておくことが必要です。
重要品片づけ手順
①いったん、家中から重要品をひとまとめにする
②健康モノ、資産モノ、支払いモノに分ける
③それぞれ写真を撮って、データ化(バックアップにもなる)
④手帳やノートにリスト化(紙での管理)
命に直結する健康モノ、金額の大きい資産モノから確認しましょう。
・健康モノ・超重要品 例
□スマホ・PCのPW
□マイナンバー
□保険証
□お薬手帳
□緊急連絡先・既往症情報など
・重要品 資産モノ 例
□現金
□預貯金
□不動産関係書類(権利証など)
□有価証券
□生命保険・損害保険
□クレジットカード
□自動車
□貴重品・美術品
□ゴルフ会員権・リゾート会員権
□仮想通貨
□著作権
□死亡退職金 など
・支払いモノ 例
□借入金・住宅ローン
□保証債務
□買掛金
□町内会費
□マンションの管理費・修繕積立金 など
こちらで片づけの進み具合もチェックしましょう!↓
片づけ診断チェック
モノ編
お金編
コミュニケーション編
実家の環境編
親の状況編
参考文献
『「これから」の人生が楽しくなる!60歳からの紙モノ整理』青春出版社、2023年
『モノ・部屋・人間関係 全部スッキリ! 人生が整う 片づけの基本(特装版)』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2021年
『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門~』SBクリエイティブ、2016年
*本事業や当協会の記事等の引用・転載を希望される際は、事前に必ずお問合せフォームよりご連絡のうえ、当サイトのURLへのリンク設置をお願い致します。
*一般社団法人実家片づけ整理協会は、令和5年度国土交通省「空き家対策モデル事業」として、「片づけ等推進による空き家発生抑制「住宅リテラシー」啓発プログラムの開発普及事業」を神奈川県横須賀市と連携して実施しています。