実家の片づけで「物欲」にとらわれないコツ

片づけが得意な方に共通していることは、いくつかあります。

そのなかで、ある70代の方の整理に立ち会って腑に落ちた、イチオシの事例を紹介させていただきます。

それは、“「物欲」に踊らされない”と意識することです。

 

「あの世まで物は持っていけない」
「物は残しても、のこされた人にとってはゴミ」

 

 

ということを、それぞれの言葉で語り、実践しているのです。

 

実家片づけアドバイザー渡部亜矢

 

一見、死ぬことを想定した、悲観的なセリフのようですが、全く逆です。
親世代に限らない、「ゴールデンフレーズ」ではないでしょうか。

次の世代が見習っていきたい、未来系のフレーズですね。

 

もちろん、「あの世まで持って行けない」という理屈ではわかっているのです。

でも、捨てられない方のほうが、圧倒的に数は多いのは事実です。

 

でも、こうした自分の思いを実際に口に出されていると、たいてい、片付けがすすんでいくうちに、物はどんどん減っていきます。
片づけは、やる気を出して、少しでもやれば、結構、結果が伴うことなのです!

 

まず、お金で測る価値観が減っていきます。
物は、捨てるよりも、買うほうがラクです。

「安い」という理由をつけて、買うのはすごく簡単ですが、値段だけでなく、本当に必要かどうかを、自然に自分にとって、余計な物を買わなくなります。買い物が「上手」になるのです。

 

親世代は、高度経済成長を支えた方々ですし、実は、いまの40代、50代もバブル時代を経ていますから、どちらの世代も物は豊かさの象徴で、買い物の楽しさを知り尽くしているのです。
ですから、物欲をゼロにしろといわれて、できるはずがありません。

 

古代人ではないのですから、持っている物をいきなり減らすというのは難しいですね。

でも、自分の片づけの能力以上の物を持っても、散らかるだけ、ごみになるだけなのです。
こんなことからも、「物欲」に躍らされないようにしなければならないのです。

 

 

そんなとき、この女性のようなフレーズが自然に出てくると、生活していく力になります。

 

物欲とうまく付き合っていくと、無駄な物にお金を使わなくなり、物は減っていきます。
他人が持っている物を「うらやましい」と思ったりする気持ちもなくなります。
捨てられないときは、「高かったから」という理由をつけて、残しておくことがなくなります。

 

自然に、物も減っていくという、「ダブル・トリプルの効果」が生まれるかもしれません。

 

持ち物は、長い人生の中でライフステージに即して、必要な物の種類も変わります。
その時々で、命を守るのに必要な物、ハートに近い物を選ぶ必要があります。
人によって違いますし、万人に共通なお金の軸では測れないものです。

 

自分の「物欲」が、市場原理や周りの目に踊らされることなく、自分の命や心の中に近いものかどうか判断できるスキルを、物の片づけを通して身につけていくことが、ポイントではないでしょうか。

 

片づけって、一生、試行錯誤してつづけていくことで、完成はあり得ないのです。

片づかないと嘆くよりも、物欲と付き合いながら、試行錯誤を楽しくしがら、一番自分の好きな物と付き合う時間をふやしていきたいものです。

 

一緒に片づけていけるといいですね。(渡部亜矢)