出番のない衣類は、引き出しの中の「詰め物」にすぎない
今、ミニマリズムということで、物を持たない生活が流行っています。
バブル時代を何らかの形で知っている世代以上、とくに親世代や団塊の世代以上になりますと、実生活に落とし込むのには無理があります。
物の豊かさを味わった時代を知っているので、いくら物は少ないほうがいいという理屈はわかっても、実行するのは難しいのです。
とくに衣類は、「いつか着るつもり」の服――「つもり服」と密にわたしは呼んでいるのですが――のオンパレードです。
くたびれた下着、ほとんど着ていない衣類がぎっちり詰まっているタンスがなんと多いことでしょう。
几帳面に毎日お洗濯をするお宅にうかがうことがあります。
キチンとたたんであっても、出番のない衣類は、引き出しの中では、「詰め物」にすぎないのです。
かえって、タンスが部屋を狭く、地震などでは危険な状態になってしまうことさえあるのです。
そんなとき、親世代に「いつか着るって、いつよ!こんなにたくさんどうするの!」なんて家族が言っても、捨てるとかリサイクルに出そうなんて気持ちにはならないでしょう。
だって、高かったから。
まだ着れるから。
ブランド物だから。
デパートで買ったから。
お友達といっしょに歌舞伎をみた帰りに買ったものだから。
派手だけど、色がいいから。
…手放さないいろんな理由づけをします。
そんな親世代であなたがいくら手放したほうがいいと説得したところで、納得には程遠く、犬の遠吠えのようにしか聞こえないでしょう。
そんなときどうすればいいでしょうか。
「旅行先で捨てよう」
そんなとき、有効な一つの方法として、
「旅行にいったときに着て、持ち帰らず旅先で捨てよう」
という話をしてみることをお勧めします。
普段着ていないタンスのこやしになっている下着や衣類を、旅行先で着て、そのまま持ち帰らず、旅先で捨ててくることを提案するのです。
無謀に聞こえますが、今持ち続けている膨大な衣類をどこで、いったいいつ着るのか?という問いかけをすることで、物の持ち方を考えるきっかけとなります。
洗濯する手間も洗剤や節約できるし、物も減らせます。いつか着る服だったら、その時に着ればいいわけです。賢い親御さんには、理屈は通ります。
たとえば、
「今度の町内会の温泉旅行にいくときに、この服や下着を着て、そのまま捨ててくれば、帰りの荷物が減るよ」
という提案をするのです。
めったに旅行なんていかない人にとっては、旅行を計画する楽しさ、親世代にとっては楽しみとなるでしょう。
すると、よく旅行に行く親御さんからは、こんな反論がきます。
「こんなゴムがのびたパンツ、よれよれの下着で、みんなと旅行に行くのはみっともない」
というもの。
「一度着た下着は買い取りなんかしてくれないから、みっともないのなら、これはもう捨ててもいいんじゃない?」と、提案できますね。
あるいは、
「この服は、着心地が悪いから、旅行に着ていくにはちょっとね・・」
という反応でしたら、さらにラッキーです。
ほとんどの親御さんは、旅行にいくというと、あたらしい服を買いたがります。みっともないという思いは大事にするといいですね。
「もう着ていくところはないから、手放そう」
と、寄付やリユースする方法を提案できます。
旅行はハレの場なので、いつも着慣れた服や下着のほうが心地いいこと、普段着こそ、お気に入りを大事に使おう、数はそんなにいらないという話を、少しずつ親世代に伝えるきっかけになるでしょう。
もちろん、「そうね、捨ててくればいいのよね」なんて直球を受け止めてくれればさらにラッキー。旅行で捨ててくる箱やゴミ袋をつくって、タンスから外に出して、一時保管にしてしまいましょう。
「旅の脱ぎ捨て片付け術」とでも呼びましょうか。
私は20代のころ、海外旅行にいくときに、したことがあります。
帰りはおみやげでスーツケースがパンパンになり、航空会社に超過料金を払うのももったいないと思って、考えた末に、思いついて実行していました。
旅行の着替えになにをもっていきたいかということを考えることは、普段着慣れたものだったり、お気に入りを自然に選べたりすることにつながります。
全世代で使える服を捨てる意外な策略として、夏の行楽シーズンを逃さないで、試してくだされば幸いです。
片づきますように(渡部亜矢)。
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