「持ち家信仰」の舞台裏
埋められない世代間のギャップの1つが、持ち家信仰です。
先日、「持ち家のない実家の男性との結婚を反対されている」という30代後半の女性に会いました。
しかも、結婚しても働き続けるということが、当たり前にとらえている女性に対し、親は「結婚してまで働かなくちゃいけないのは不幸」だといって反対するのだそうです。
これは、「持ち家信仰」と「主婦神話」がセットになった、実家のお悩みの典型例ともいえるでしょう。
すでに家が将来の安定とか、値上がりを約束された財産だった時代は去りました。
それどころか、実家が負債になるというのが、世の中のベクトルであるはず。
(もちろん、家が財産になっているお金持ちの方々は、世の中まだまだいらっしゃいますが・・・)
それでも、親世代の持ち家信仰は確固たるものです。
なにしろ8割は持ち家なのですから、理屈の上で、値上がりはないとわかっていても、気持ちの面では、まだまだ持ち家のほうがえらいのです。
そもそも、持ち家になったのは、戦後の、高度経済成長からといわれています。
ぜひ明日の祝日に帰省する方がいらしたら、親にきいていただきたいのですが、いまの70代80代の親世代が幼かったころ住んでいたのは、賃貸だったという方が多いと思います。
持ち家率の増加と、専業主婦の歴史はぴったり重なるのではないかと、私はひそかに思います。
高度経済成長期は、父さんががんばって働いて家を建て、お母さんが主婦となって家事をするというイメージです。
もちろん核家族です。(わが実家も典型例です)
家という箱を買ったら、次は車や家電をどんどん買えるのが、豊かさの象徴です。
そんな環境ですから、家を持たず、ずっと働かなければいけない状況にある娘の結婚には、反対したのでしょう。
そんな親の心情が生まれるのは当たり前かもしれません。
子世代からみると、仕事を持っているというのは、素晴らしいことであり、逆に夫にすべてを頼るのは、終身雇用が崩れたいま、真逆の反応とみえるのです。
もっといえば、持ち家云々以前の話が見えます。
十分大人である30代後半の女性の結婚話なのですから、女性の意思で決められることで、悩みにあたるのか? という意見もありそうな事案ですね。
相談者の女性からしてみれば、将来のパートナーを、ご両親に認めてもらえないのは、メンタル的につらいことなのでしょう。
親子両方が自分たちの価値観にとらわれていて、自由でいられない様子がうかがいしれます。
実家って、表からは見えない心理的、世代間の壁がたちはだかります。
どんなキャリアウーマンであっても、実家から心身ともに自由になれる人は、案外少ないかもしれませんね。
いずれにしても、生きた時代が違うのですから、同じ土壌で同じ価値観を持つのはまず無理なのです。
現実には、持ち家信仰と、専業主婦はセットで、価値観をつくっています。
価値観の違いは、少子高齢化社会の実家の片づけのテーマのひとつです。
互いに同じにして解決しようとしても、無理です。
まずは違いを知るだけで十分。
価値観の違いを同じにするのでなく、共通点をみつけていくのが、「実家の片づけ」です。
このままいくと、高齢になった親の、実家の片づけの場面で、お互いしっくりこない場面に遭遇するかもしれません。
表面上は、物を捨てる捨てないのケンカでも、「あの時お母さん、結婚に反対したよね!!」と買い言葉に売り言葉が出てしまうかもしれません。
価値観の違いを少しでも理解していけば、多少、ケンカを防ぐことはできるかもしれないですね。
ではどうやって片づけていくかは、このブログや講座でお伝えしてまいります。
どうぞ片付きますように(渡部亜矢)。
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