片づかない話 第11話 『暮しの手帖』と『週刊ダイヤモンド』が揃っているはなし

あのこんまりさんは、小さい頃から家にあった主婦向けの雑誌をよみ、片づけをされていたという、有名なエピソードがあります。

 

そんな素敵なこんまりさんとは比べることはできませんが、私の場合は、『暮しの手帖』を読んでいました。

 

 

当時、節約に燃えていた専業主婦の母が買う本といえば、唯一これだけでした。

親の転勤で名古屋いたころなので、小学校4-5年ごろです。

 

 

もちろん、お片づけの記事ではありませんし、こんまりさんよりもうんと大きくなってからの話ですから、比べる話ではありません。

 

手に取ったのは、ステンドグラス風の切り絵の、動物が出てくる物語や、「モチモチの木」の滝平次郎さんの切り絵が出ていたのがきっかけでした。

 

 

(私は、小さいころ、子ども好きの滝平さんの展覧会にいって、頭をなでてもらったことがあるので、それ以来、興味があったのです)

 

「家庭学校」に出てくる家族が、よくありがちで、おもしろい話が多かったので、楽しみでした。

ウチの家族の話のほうがよっぽおかしな話がいっぱいあるから、本気で投書しようかと思い、

でも小学生だからとりあげてくれないだろうなあ、なんて思い巡らしながら読んでいました。

 

そんな折、『暮しの手帖』のある号で、掃除機の商品テストが掲載されていました。

当時、畳に茶殻を撒いて、箒で掃除をするのが、私が担当のお手伝いでした。

これが、とても面倒でした。

 

私は、当時まだ高級品の掃除機でしたが、さすがに節約家の母も、この記事を読めば便利だとわかって、新しいのを買うだろうと、子ども心に思いました。

 

商品テストだから、おすすめの掃除機が出ている話だろうから、母にこれを買おうといえばといえると、わくわくしながら読み進めていくと、・・・

 

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なんとそこには、「今回のテストでは、吸い込み方などを比較して、どれもいいとはいいがたい。しいていえば、この中では○○製」というような結論だったと記憶しています。

本当に、びっくりしたのを覚えています。

 

てっきり、「これが1番でおすすめ」という話かと思いながら読み進めていたのですが、学校の理科の実験の結果をまとめるのと違うんだ、買うのを待つっていうのもありなんだと思い、

あきらめて茶殻掃除に徹することにしたのでした。

 

 

物選びは、慎重にしないといけないということに、気がついた瞬間だったと思います。

(小学生の読解力なので、正しくない可能性もありますが、ご了承ください)

 

そんなこんなで、我が家に長い間、『暮しの手帖』のバックナンバーが、応接間に並んでいました。

実は、文学全集などと同様、親の家で、よくみかけるシリーズもの、子どもからみると捨てられない物に、『暮しの手帖』があります。

でも、こうやって買いそろえたものは、そう簡単に処分できなくて当然と思います。

 

男性でよくバックナンバーを揃えている雑誌に、『週刊ダイヤモンド』があります。

どちらも高度経済成長期を過ごしてきた親世代には、思い入れの深い物です。

もはや雑誌ではなく、思い出に昇華しているのです。

 

当時、一生懸命、生きてきた、親世代の生き方そのものが投影されていますから、簡単には捨てられないのです。

いくら場所をとっているからとはいえ、親がもう処分していいというまでは、見えるところに飾るか、一時保管にしておきましょう。

 

同じように、空間をしめる揃い物に、食器のセットや、大鍋のセットなどがあります。

引き出物などで、たいして気持ちの入っていない頂きものも結構ありますから、

片づけるときは、自ら買い揃えたものでないものから手をつけると、楽にすすみます。

 

どうぞ片付きますように。(渡部亜矢)

 

『週刊ダイヤモンド』「実家の大問題」に記事掲載

 

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