親の家を「空き家」「ゴミ屋敷」にしないために
実家の片づけのハイシーズンとなりました。
さて、帰省して、親の家を片づけたいけれど、どこからどうしたらいいか?迷う人が多いことでしょう。
時間がたっぷりある方ははいいのですが、とくに次は年末しか帰省できない忙しい方は、コスパのよい行動をとらなければなりません。
放っておくと、「空き家」や「ゴミ屋敷」の危険があるというのは、わたしもいろいろなところに書きましたので、ご存知の方も多いことでしょう。
(まだお読みになっていない方は、こちらのオンライン記事一覧からご覧くださるとうれしいです)
ぜひこの時期に、親の家の片づけに取り掛かかってほしいです。
親の家を「空き家」「ゴミ屋敷」にしないためにも、限られた帰省の時間を有効活用してください。
親とのコミュニケーションをとる前に、考えて、やるべき大事なこと
私自身の体験もふくめて何度も書いております通り、実家の片づけは、親とのコミュニケ―ションが大事なのですが、それよりも先に考えて、やるべきことがあります。
そもそも会話があれば、解決への8割は進んだようなものなのです。
その会話のきっかけをつかむということがポイントになりますし、会話の質にもよるわけです。
会話よりも優先する大事なことが2つあります。
片づけに悩んでいられる最大の理由を考える
会話よりも優先する大事なことの第一は、平和について考えることです。
物が片付かなくて悩んでいられるのは、平和だからこそです。
私は広島に講演に行ったときにも、こういった話をさせていただきました。
おりしも今日は原爆記念日ですので、ニュースでくりかえし戦争の話が出てきます。
会話のきっかけにしていただくと、スムーズでしょう。
戦後生まれの親御さんも多いですが、なにかしらの形で戦争をご経験された方々であることは確かです。
親世代が大量の物をためていたり、ゴミにしか見えないものをためていたとしても、
そう簡単に捨ててとは言えないほど、つらい、たいへんな状況だったからです。
実家の片づけは、戦後処理の一環みたいなことともいえるわけです。
平和に感謝していくと、親の「物をためる行動」についても、そんなには腹が立たなくなります。
そして、本当につらい体験というのは、なかなか人は口に出しにくい場合も多いです。
無理やり聞く必要はありませんが、もし聞ける状態でしたら、
「小さいころ戦争の影響はどうだったか」など、さりげなく聞いてみたり、
家がある程度片付いてるのなら、親戚など集まってアルバムをみて話をするのもいいですね。
戦争の話を聞いてつたえていくことも、子世代にとっては大事な仕事のようなことです。
そうすると、簡単には捨ててと親に言えなくなりますし、その後のコミュニケーションが、本当の意味ですすんでいくのです。
親はたいてい、昔の話は大好きです。
会話をしながら、親子の関係UPをめざし、片づけながら、回想していくと、親世代はいきいきしてきます。
祖母との思い出
私事で恐縮ですが…… 私は22歳のころに父を亡くしたので、社会人になってから、もっと仕事のことなどをいろいろ聞いておけばよかったと、
後悔しました。
また、明治生まれの祖母と同居していたのですが、大事に仏壇に飾ってあった、古びた看護婦さんの人形がありました。
祖母は、四国の日赤病院で婦長さんだったと聞いていたので、その関係だろうと、小さいころから気にも留めずにいました。
祖母が亡くなってから知ったのですが、その人形は、看護婦として貢献した人ということでもらえた、「ナイチンゲール賞」という名誉のあるものだったそうです。
戦争中のもののようです。
私たちの世代は、戦争はすでに歴史の教科書の中のことです。
今思うと、祖母が、婦長として戦争中にどんな仕事をしていたのかなど、きちんと聞いておけばよかったと、悔やみました。
教科書には書かれていない、歴史や戦争を知るきっかけをつかめたかもしれないからです。
……そんなこんなで、私の場合は、
「きちんと家族から聞けるときに話を聴いておけばよかった」と思います。
私は、この話を、あとになって母から聞きました。
そのときのいきいきした顔が忘れられないのです。
いろいろな思いがあったのだと思います。
各ご家庭に、そんな小さな戦争体験が眠っているかもしれません。
片づけるときに、古い物が出てきたら、聞いてみるのもいいですね。
「戦後」がずっと続きますように。
実家片づけ整理協会 渡部亜矢