片づきますように。
実家片づけ整理協会 渡部亜矢
ふだんコミュニケーションをあまりとっていない実家に、
夏休みに帰る男性(息子さん)も多いことでしょう。
帰省したときに、「無難」に片づけるコツを3つ紹介します。
半年ぶりに帰省した実家が、なんとなく散らかっている……。
几帳面な両親だったのに……。
ご高齢の方の中には、複雑な仕分けが面倒で、
ごみを出すのがおっくうになってきているケースが多くあります。
数年前は軽々と持てた荷物も、持ち上げるのがおっくうになっているかもしれません。
そんなときは、家の中にある粗大ごみ、捨てにくいごみを片づけることから
はじめてはいかがでしょうか。
今、ご高齢の方たちの中には、たとえ息子であっても、
まだまだ男性に片づけや家事をしてもらうということに、気兼ねする高齢の女性も、
少なからずいらっしゃいます。
そんな方でも、力仕事なら息子さんに気軽に頼めます。
粗大ごみを出す、車で公共のゴミ捨て場までごみを運んだり、
2階から重たいものを下したり、資源ゴミのゴミ出しなど、
大きなモノを積極的に片づけていくのが、おすすめです。
大きなモノは空間をふさいでいるので、安全面も確保でき、
さらに、片づいたあとの達成感も、得やすいですね。
事前に、粗大ごみの出し方を、子どものほうで、自治体に問い合わせておくのもいいですね。
あくまでも、「こんなモノ買っちゃって」などと責めないようにするのがポイント。
「これ、あのとき買ったんだっけ?」などと、親が話しやすいようにしていけると、
そのあとの片づけもスムーズです。
ふだんコミュニケーションをとっていなくても、ハードルが低く、なおかつ
喜んでもらえる、ミッションですね。
親の立ち場に立ってみましょう。
普段、あまり話をしない息子さんが、ひさしぶりに帰ってくるなり、いきなり、
「あの権利証、どこいった?」「通帳、どこにしまってる?」なんで、どう思うでしょうか。
お金の話をいきなりするのは、ご法度です。
粗大ごみなどを片づけて、うちとけてから、少しずつ聞くぐらいにとどめたほうが
無難な場合が多くあります。
体力がなく、ネガティブな気持ちになっているときは、
こちらは心配して聞いているつもりでも、
「もう私はそんなに生きないと思っているのか」
などといいだして、喧嘩になったら、元も子もありません。
コミュニケーションがきちんととれて、気持ちが安定しているときのほうが
金銭的な話はスムーズです。
もし、本当に差し迫っていて、帰省中に話をしなければいけない時は、
できればごきょうだいなど、関係者と一緒に話をきくのがおすすめです。
重要書類片づけは、きょうだいで立ち会って行い、
いざというときのために、しまい場所を共有しておいたほうがいいからです。
後の、きょうだい間のトラブルも防げます。
きょうだいといえども、お連れ合いがそれぞれでき、仕事も違えば、価値観もずいぶん違ってきます。
親と同様、まったく違う環境に住んでいる人と思って接した方がいい場合が多くあります。きちんと会って、片づけに関することを話していけるといいですね。
重要書類や金銭にかかわるものは、業者にはたのめません。
信頼してもらえる関係づくりのためにも、少しずつ片づけながら、
話をしていくのがコツです。
余談ですが、お連れ合いが口出しすると、話が複雑になることもあります。
重要書類・金銭にかかわるものの片づけは、基本的には、
本人と実の子どもがすることなので、
そのあたりはマナーとして心得ておけるといいですね。
久しぶりに帰ってゆっくりしたいけれど、帰省する日にちも決まっているあせりから、
実家に帰ってすぐに「捨てて」「じゃま」「片づけて」は、御法度です。
とくに母親は、息子に一番いいところを見せたいし、片づけが得意で几帳面だった昔を
おぼえてもらいたいという気持ちがある方が多いようです。
子どものほうも、小さいころ片づけろとさんざん言われていたのに、
高齢になった親にショックをかくしきれない方もいらっしゃいます。
どんなに歳をとっていても、親は親。難しいですね。
もし、廊下や床に大きな荷物が置きっぱなしになっていたら、
「これなあに?」
「いつ買ったんだっけ?誰が使ってたんだっけ?」
と質問してみることから始めるといいですね。
自分自身も歳を重ね、高齢になった親を目の当たりにすることがあるかもしれません。
そもそも、片づけは時間がかかるものです。
10年以上かけてためたものを、数日で片づけられるわけもありません。
完璧をめざさず、「さりげなく」「無難」に、1つでも2つでも片づいたら
それでよしとしましょう。
喧嘩しなかっただけも、素晴らしいです。
もし、いま親がお元気でしたら、「統計的」に見れば、まだまだ片づけるチャンスはあると、
思いっきり楽観的に考えるのも、一つの手です。
なにしろ、平均寿命は延びているのですから!
高齢化社会を、前向きに生きていけるといいですね。